The Get Up Kids “1st『Four Minute Mile』完全再現ライブ” - 一緒にいることで得られる心強さ、誰かに支えられている実感 -

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主催者の熱烈なオファーにより実現した、約2年ぶりの来日公演だった。
2010年の単独ツアー、2011年のフジロックフェスティバル、そして今回の来日と聞くと、結構来ているようにも思うが、現在は活動休止中かつ今後も予定が一切ないという話を聞くと、今回の来日がいかに貴重なものだったかと想像できる。
本日1日目は、1997年発売のファーストアルバム「Four Minute Mile」を中心としたセットリストだ。
収録当時メンバーは高校生だった。
故に、疾走感に溢れ、淡い青春の匂いがプンプンとする1枚だ。
リリースから約16年が経ち、再結成、そして2度目の活動休止を経て、三度日本に来てくれたミラクルを噛みしめるように、筆者は初めてのThe Get Up Kidsにいろんな想像を膨らませながら、会場へ向かった。

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先に言ってしまうと、「Four Minute Mile」中心と言ってはいたが、本編は曲順から全てアルバム完全再現のライブとなった。
定刻の16時、ステージ後方にあるtieemoのロゴの裏からThe Get Up Kidsの5人が姿をあらわすと、会場が総立ちになって歓声を上げる。
マット(Vo.&Gt.)の「ヒアウィーゴー!」の掛け声から”Coming Clean”が始まった。
ジャキジャキなギターでスタートし、甘く切ないマットのしゃがれ声が、夕暮れ間近のステージをつんざくと、観客の熱も早々に沸点に達した。

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続く”Don’t Hate Me”では「Oh Amy, don’t hate me!」の大合唱、みんなが「嫌わないでくれ」と叫んで一体になる様は、何とも心に響くアツいシーンだ。
今回のように、1日目2日目で、それぞれファーストアルバムとセカンドアルバムを中心にしたセットリストを組む企画は以前にもやったことがあるそう。
しかし今回は、「16・17年ぶりにやる曲だよ」とジム(Vo.&Gt.)が言うように”Lowercase West Thomas”や”Washington Square Park”など、マイナーな楽曲も出し惜しみなく、アルバムを再現していく。
そして、”Last Place You Look”から”Better Half”のメロウな空気感が漂う中盤も淡々と進んだ。

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そう、淡々と進んでいったのだ。
今回のライブにはアルバム完全再現という特別感があっても、フェスティバルの祝祭感にはどこか欠けていた。派手な演出もなければ、MCも本当に少なく短い。
しかし、それはThe Get Up Kidsらしさの表れなのかもしれない。産業ロックではなく、アンダーグラウンドなシーンから出てきて彼らは、流行に捕われず、あくまで自身の音楽を探求してきた。
自分達の培ってきたものと、自分達の今を奏でるには、きっと、派手な演出もMCもいらなかったのだ。
それを彼らの美学とまでは言えなくても、楽曲や自分達に対する真摯で実直な姿勢なのかもしれない。
そうすると、彼らのパフォーマンスも頷ける。

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マットはまぶたに若き日の自分を投影しているが如く、常に目を瞑って歌っているし、踊るシンセの元祖ジェイムスは(加入前の作品だということもあるが)静かにシンセと向き合っている。
唯一パーンと弾け飛んでいたのはジムくらいだった。

IMG_7222@そして、”No Love”、”Shorty”で再びヒートアップ、シンガロングを起こし、浮遊感漂う”Michelle With One “L””に揺られながら、アルバム「Four Minute Mile」の終わりを迎えた。
青春時代をリスペクトしているのだろうか、歳を重ねても変わらぬエモーションがそこにはあった。
決して派手ではないが、歳を重ねることで染み出た味と、若き日のファーストアルバムが融合した、いぶし銀なステージであった。
そして何より、90年代に活躍した海外バンドが、こうやって日本のDIYな音楽フェスに出演し、彼らの音楽に支えられてきたファンと一緒の時間を共にすることに意味があるのだと感慨深く感じた本編だった。

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アンコールは、ライアン(Dr.)が本編で誤って叩き出して、マットに「それはアンコールの頭だよ」と注意されていた、The Cureの”Close To Me”のカヴァーから始まった。
そして、”Action & Action”、”Ten Minutes”と翌日のセカンドアルバムトリビュートへと続くフィナーレで幕を閉じた。
終わってみれば、アンコールを含めても1時間にも満たない、あっという間ライブだった。
しかし、この間に繰り広げられた一曲それぞれに、The Get Up Kidsや観客のこれまで生きてきた長い年月がぎゅっと凝縮されていたことも事実である。
老若男女いろんな成り行きでここに集まった人達の見えない心の奥の記憶を、The Get Up Kidsのエモという諸刃の剣がぐりぐり抉り、掘り返した1時間弱のステージでもあった。

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tieemoのテーマのひとつが、時代や世代を越えた同じ感動の共有だ。
会場では子供連れの往年のファンがよく目に付いた。
他のフェスと比べても、その比率は非常に高いと思う。
そして、古い友人なのか、いつもの仲間なのか分からないが、再会を喜び、グループで楽しそうに談笑している姿も多く見受けられた。
また、会場をよーく見渡すと出番を終えた共演者もちらほら客席から食い入るように、まるで子供みたいにThe Get Up Kids見つめていた。
感動を共にするといっても、そこに至るまでには、仕事然り勉強然りで個人の努力と忍耐が必要だ。
その上で、誰かと何かを共にすることできる。
そして、そこで生まれる笑顔や涙、そこで得られる誰かに支えられているという実感や心強さが、何より代え難いものなんだと思う。
いろんな人がそれぞれに支えられてきた音楽の元に集い、自分の過去を振り返り、今の自分を見つめ直していたと思う。

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IMG_7025@同じ空間で同じ音楽を共有し、みんなで一緒の時間を共にする。
この日の所沢航空記念公園野外ステージでは、まさにtieemoのテーマが実現していたと言えるし、その中で生まれた笑顔や涙は実に微笑ましく、また羨ましくもあった。
一緒にいることで得られる心強さ、誰かに支えられている実感というのは、自分一人で生きていくんだというロックの精神とは相反するものかもしれない。
しかし、ロックバンドというのは、あえて一人で生きることを演じ歌い、リスナーにとって、時に友人として苦楽を共にし、時に反面教師として誰かと一緒にいるという大切さを気付かせてくれる存在であるようにも思える。
誰かと一緒にいるというのは当たり前のことかもしれない。
でもそんな当たり前が一番大切なものなんだと分からせてくれたのが”tieemo”だった気がする。

ありがとうThe Get Up Kids!”tieemo”!

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- set list -
Coming Clean
Don’t Hate Me
Fall Semester
Stay Gold, Ponyboy
Lowercase West Thomas
Washington Square Park
Last Place You Look
Better Half
No Love
Shorty
Michele With One “L”

《 encore 》
Close to me(The Cure cover)
The One You Want
Action & Action
Ten Minute
photo : 小坂淳 writer :  高山雄大 / @mft_ueenb

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